WALK/THINK 青ヲ見る
− 西野壮平 さん −
ある晴れた秋の日、沼津市戸田で「WALK/THINK-青ヲ見る」が開催されました。
その日は、まさにそのテーマどおりの真っ青な空。
戸田の青い海と空の境界線が無くなってしまったような、完璧な青。
企画の主催者は、戸田に住む写真家 西野壮平さん。
彼は4年前にインターネットの不動産情報を通して戸田に出会い、この土地に移住。友達も家族もいない、縁もゆかりもないこの土地に来ることを決めたのは、このアトリエの存在があった。
「とにかく”大きな”作品をつくりたくて。この広いスペースにとても魅かれました」
戸田の豊かな自然の存在も大きかった。
海、川、そして富士山。
気づいたらこの土地が、制作の拠点としてだけでなく、生活の場所にもなっていた。
そんな彼が、二年前から毎年この土地でワークショップの開催をしている。
「いろんな人たちが繋がりあえる空間をこの場所につくりたいと思っていました」
今回のワークショップのテーマは「WALK/THINK 青ヲ見る」。
WALK/THINK。
「世界を歩いて、考える」ということ。
彼自身が作品を作るときにも、このWALK/THINKがつねにテーマとしてある。
彼の近作である「TOKAIDO」もそのひとつ。
今回のワークショップも、このテーマにこだわった。
まず、参加者のみなさんに戸田を歩いてもらい、モチーフになりそうなものを採取してきてもらうところからスタート。
いつもの感覚ではなく、”模様を探す”という意識でまわりを見ながら歩いてみる。
そうしてみると、普段まったく気がつかなかったものや、風景にふと気付く。
みんなが拾ってきた、さまざまな物たち。
それらを、それぞれテーブルの上に並べてみる。
拾ってきたものが、突然キラキラと輝きだす不思議な瞬間。
今回は”サイアノタイプ”という技法を使った。
鉄塩の感光性を利用して写真をプリントする技法。
鉄塩を塗った10メートルの紙のうえに再度モチーフを配置して、露光をしていく。
その時間、約10分間。
日光があたった部分は青くなり、影になっていた部分は白くなっていく。
瞬く間に変化していくのが、見ていてとても不思議な時間だった。
そして、一気に水をかけていく。徐々に青と白のコントラストがはっきりとしていく。
ひとつの大きな作品が完成!!みんなの歓声があがる。
ー今回のワークショップを企画したきっかけは何だったのでしょうか?
最初は「青」をテーマに、音楽のライブ配信を計画していました。
しかし、急遽、歌う予定だったアーティストが来ることができなくなってしまったんです。
音楽のライブ配信の企画はなくなってしまったが、西野さんはこの「青」というテーマをどうしても生かしたかった。
そんな時、奇跡的なタイミングで、都内の美術館で学芸員をしている服部芽生さんと、サイアノという手法を使って作品を作っている中野優太さんがアシスタントをしていた。
二人の協力を得て、今回の「WALKHINK 青ヲ見る」は実現した。
ーなぜ、「青」なのでしょう?
今の時代は、何をしてもパワーを削がれるような感じがあったり、外に出ることを阻まれるような感じがあると思います。そんななか、「青」という色は我々の精神状態を象徴しているような色だと思います。
「青」という色は、「冷たさ・涼しさ・静寂」という意味あいをもっている。いっぽうで、信号機の青は「すすむ」という意味だし、「青写真」というと未来を創造するという意味もある。
今という時代を表しているのは”青”という色なのではないかと思うのです。
日本には美しい四季がある。
だから、私たち日本人は、昔から色に対する感性がとても豊かだ。
おだやかな「静」と、エネルギーを感じる「動」という、相反する感覚をもつ”青”という色。
それは、刻々と変わり続ける今の時代において、私たちにとって大切な何かを教えてくれるのかもしれない。
最後に、参加したみなさん全員で、出来上がった作品と一緒に記念撮影!
戸田の澄み切った青空の下で、
「青」を歩いて、考えて、楽しんだ、
素晴らしい1日でした。
西野壮平
Official Website http://soheinishino.net/
Instagram https://www.instagram.com/sohei_nishino/
↑フォローいただけると大変励みになります!
よろしくお願いします。