大瀬まつりは漁師さんのお正月
(沼津市西浦江梨)
Vol.2


(vol.1はこちらから)

各地域から大瀬神社に集結した船たち。

いつもの年よりも飾り付けは控えめなものの、やはりどの船にとっても、年に一度のこの大瀬まつりは欠かせない大切な日。

どの船からもそんな空気がひしひしと伝わってきます。

神社に着くと、すぐに本殿へ。丁寧にお供物を運びます。

そして、みんなで参拝。

真正丸からは、一列目に船長と長男、次男が一列に並んで、今年一年の豊漁と安全を神様に祈願しました。

「なんて言われたかは全く覚えていないんだけれど。大瀬まつりの大切さは親父から肌で教わったから、俺もふたりの息子たちにも、同じように伝えないといけないと思う。だから、今年は長男に真ん中で参拝してもらったんだよ」

と、船長の小林大介さんは話してくれました。

雨のなか、厳かにとりおこなわれた神事。

「まるでこの雨は、昨今の世界情勢や疫病による混乱を、神様が清めようとしてくれているようです」

−最近、海や漁の状況に変化などはありますか?

そうだね、数十年前にくらべたら、だいぶ魚が採れる量は減ったよね。いろんな原因が言われているけれど、はっきりしたことはよく分からない。

でもね、実は本音を言うとそんなに深刻に考えてもいないの。

これまでずっとこの地域は、こうして神様に守られてやってきた。もちろん、それに甘んじているということではなくて、日々、新しい工夫なんかもしてはいるけれど。

僕たちはね、自然に身を委ねて生きているから。

参拝を終えて、それぞれの船がまたそれぞれの港に帰っていきます。

次の世代に大切なことを言葉以外の感覚で伝えつつ、家族や地域の人たちと共に、自然に身を委ねながら生きていく、この地域の素晴らしさと美しさ。

ピンク色の桜がポツンポツンと咲いている美しい山々に囲まれたこの風景を、いつもとは違う船の上から眺めながら、そんなことを感じた、大瀬まつりの一日でした。

真正丸
静岡県沼津市西浦江梨1000-1
website : http://shinsho-maru.main.jp/
公式youtube channel : https://www.youtube.com/channel/UC2asqWmsjB85bQnsgkEyugg

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andre