育つアート。

(沼津市戸田)

気づいたら、新緑のなかで何度も深呼吸をしていた。

植物は、驚くほど多様な環境下で自らのかたちを変え、進化しながら、力強く生きている。

苔もそのひとつ。
主に日陰を好み、種ではなく胞子を飛ばすことで増える独特な植物。

今回はそんな苔を使って、アート作品をつくろう!という、なんとも斬新な企画が、沼津市戸田で行われました。

今回参加したのは、この3人のアーティストたち。

「ともだち by KANTA」
KANTA

KANTA。

乗り物、人物を描くのが得意で、紙を何メートルにも繋げる表現は圧巻。
誰かに見てもらいたい!喜ぶよ!と日々何色ものペンをにぎっています。

神池姫 by ASAHI

ASAHI

独自の方法で音を探して楽しむ音楽家。毎日欠かさずピアノの練習をします。
絵は大胆に好きなものを描くことが得意。

「タカアシガニ by KOTARO」

KOTARO

電車やトラックが大好き。貨物列車の絵を毎日描いています。
珈琲の香りも大好きで、将来の夢は珈琲屋さん。

3人は、障害を抱える子ども達の将来の「しごと」や「役割」をつくる事業「障害者のしごとを考える母の会・カフェと工房ぼくの色」に属する色員さんたち。

ここでは、それぞれの特性(こだわり)を強みとして可能性を見出し、 「自分らしさ」「やりがい」「愛」を感じながら働けるよう、 『心と心・心とモノ・モノと仕事・仕事と場所・場所と心』を繋げていくための活動をしています。

そして、みんなそれぞれ違った色を持つ彼らは『色員(いろいん)さん』と呼ばれています。

さっそく、制作を開始。

これまで何度も絵は描いてきたけれど、苔のキャンバスははじめて。じっくり観察しながら、全身で向き合います。

最初は、正直なところみんな戸惑っているようでした。力の加減や、どんな道具を使ったら一番うまくかけるのか。

試行錯誤しながら、少しずつ。

いつもは、カラフルなペンや絵の具を使って自由に絵を描いているけれど。

今回は、苔がもつ独特な色彩のなかに、ひたすら線を刻んでいく。

最初はどう扱っていいかよくわからなかったこのキャンバス。

しばらくしたら、だいぶ苔と呼吸があうようになってきて、気づいたらみんな夢中になっていた。

いつもの大好きな車や電車の絵が、少しずつ苔のなかに出現。

アシスタントさん(障害者のしごとを考える母の会・カフェと工房ぼくの色 代表であり、KOTAROくんのお母さんでもある沼田さん)との息もぴったり。


今回の企画人、地域おこし協力隊の郷内さん。みんなが安全に楽しめるように、色々と手配してくれました。

「戸田をね、盛り上げたいんです!」と。

そして、さまざまな作品が徐々にかたちになっていきました。

これは、オウムガイ。

戸田名産のタカアシガニ。

伝説の怪物、鵺(ぬえ)も。

そして、ついに完成!

気づいたらみんな夢中になっていて、あっという間の2時間でした。

これからの季節、この苔がムクムクと育って、また違う顔を見せてくれるのがとても楽しみ。

今回の主催は、静岡県障害者文化芸術活動支援センター「みらーと」の伊藤享子さん。

「今回は、地域のワクワクを創出する郷内さんと、同じく地域をむすぶという志をもった沼田さんを繋げさせていただくことができて、とても素晴らしいものになったことがとても嬉しく思います」

戸田がますます魅力的な場所になっていく、そんなことを思いながら食べたお昼の天丼は、最高に美味しかった。

ぜひ、アートも海鮮も最高に楽しめる戸田に遊びにきてください。

今回の苔アートが描かれた場所はこちらです↓

よしの滝


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andre