ひじき漁は女子たちの時間。
(沼津市西浦江梨)
花たちが美しく咲き誇る、春の満月。別名ピンクムーンの頃。
ヌマヅノミナミの女性たちは、毎年この頃になるとみんなソワソワしてきます。
その理由はこれ。
岩にびっしりと垂れ下がるように生えている、ひじき。
人々が海と共に生きるこのエリアでは、磯の仕事は女性の担当。そのなかでもこのひじき漁は、毎年恒例の一大イベントとなっています。
船で岩場まで移動して、チームで作業をしていきます。その船の手配なども、この日だけは女性が全て仕切ります。
今年は、例年に比べて大漁で、こんなに山盛りになりました。その量、約1400キロ!
みんなで少しずつコンテナに入れて運びます。この作業だけでも、めちゃめちゃ重労働。
可愛らしいメンバーの姿も。
今年は、こんなにたくさんのコンテナになりました。
この日の主役は女性たち。男性はあくまでもお手伝いです。
さて、ここからがまたひと仕事。海から採ってきた大量のひじきを、約5時間ほどかけて、全て一晩のうちに煮ていきます。
25年前に作られたこのかまどは、もちろん手作り。
水加減が難しく、水を抜いたり足したりの繰り返し。あたりは、蒸したひじきの香りで包まれていきます。
窯の脇にある謎の綱。
この綱を使って底側にあるひじきを上側にひっくり返します。大量のひじきをまんべんなく煮るための長年の知恵です。
煮始めて約1時間後。こんなに真っ黒になったひじき。鉄釜で煮たひじきは、さらに鉄分がプラスされて、最強のスーパーフードとなります。
「この地域の女性はね、みんなほとんど男性よりも長生きなの。もしかしたら、それはこのひじきの鉄分のおかげかもしれないね。」と、笑顔で教えてくれました。
ヌマヅノミナミの女性たちが、いつまでも健康で若々しい秘訣がこんなところにあったとは!
世代を超えて、受け継がれていくひじき漁。女性たちが楽しそうに、いきいきと作業をしているその美しい風景を、これから先もずっと見ることができますように。
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